週刊外資系新聞

営業マネージャーのための予算必達術

メルマガ 2010年9月12日号

第3章 外資系企業で求められる語学力

第4節 外資ではみんな英語がペラペラか?

外資系企業では社員みんなが英語ペラペラである。
それは違います。
今はみんなペラペラだが、昔は違った、なんてのじゃなく、昔も今も違う、のであります。

どうしてこんなことに大声を出してしまうのかというと、「社内公用語英語化」を論じる時に必ず出てくる、「英語はできないが、仕事はできる人はいるだろう」という主張と「英語くらいできなければ、仕事ができるとは言えないだろう」という主張の争いにケリをつけておいたほうがいいだろうと思ったからです。(注1)

当たり前の結論から言うと、「英語はできないが、仕事はできる人」はいます。
私と一緒に外資系企業で働いた営業マンたちは、英語が分からない人がほとんどでした。

しかし、営業という仕事の点では抜群の力を持っていて、彼らの経験に裏打ちされた筋肉質の知性と、芸術的ともいえる人間関係のメンテナンスに本当に助けられました。今でも感謝しています。

外資系商社でも、国内物流を担当する人は、英語ができなくても困りません。
経理や総務の部署でも、抜群の事務処理応力を持っているが、英語を話せない人はいます。
特に彼らが仕事上で困るようなことはありません。

経営幹部を目指すなら、絶対に英語は話せなくてはいけませんが、普通に働く上で、英語ができないことが決定的に不利に働くということはありません。

逆に、英語ができて、頭が良くて、弁舌が冴えている。
けれど実行力がなくて結果が出せない。そうした人の方が外資系では短命です。

それでは、「英語はできないが、仕事はできる人」たちは、どうやって欧米人の上司や本社とコミュニケートをしているのでしょうか?

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英語のプロによる分厚いサポート
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小さな会社だと社長秘書、大きな組織だと必ず部署に何人かはネイティブ並みの英語を話すアシスタントがいます。
実は、こうした「英語のプロ」が職場に何人もいるのが外資系なのです。

同時通訳並みのスピードで通訳をしてくれるし、お客さんが相手なら、失礼のない丁寧言葉の日本語に訳してくれる。
定型的なレポートは担当部署からヒアリングをして英語にまとめてくれます。
新しい案件では、担当者が書いたつたない英語の文章をすっきりとした英語に書き換えることもしてくれます。

外資系企業とはいえ、日本で商売する以上、実質上の社内公用語は日本語です。
日本人同士では日本語で話しています。
と同時に、外資系には「英語のプロ」がたくさんいて、外国人上司や海外とのコミュニケーションをサポートしてくれるわけです。

とはいえ、ここ10年くらいで様子が変わってきていて、こうした「英語のプロ」の出番が少なくなっています。
彼女たちの待遇もステータスも高められていることはありません。
それどころか、社長秘書を派遣社員で充当するというとんでもない外資系企業まで現れています。

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Eメール革命
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私には「英語のプロ」の地盤沈下と、日本企業の英語公用語化の動きはどちらも「職場に起こったある変化」に根ざしているように思えます。

それはEメールの導入です。

かつて、海外とのコミュニケーションはフォーマルなもので、お金も掛かるので、頻繁に行うものではありませんでした。

通信手段は国際電話かファックスで、一回何百円から何千円はかかります。(注2)
ですから内容を吟味して、大事な事だけを、要領よく伝えなくてはなりません。
また、一度送信したものを取り消すなんてことはありえませんでしたから、随分と神経を使ったものです。

Eメールの導入は、まず海外との通信のコストをゼロにしました。
どれだけ長い文章を何度送ろうが、コストはゼロ。
いちいち紙にプリントアウトして、ファックス機のところまで行く必要もありませんから、手間も格段にかからなくなりました。

タダで手軽にコミュニケーションができる。
これがコミュニケーションの作法を変えたのだと思います。(注3)

ファックスの導入でカジュアル化が始まっていた文章がメールでは、話し言葉そのままの砕けたレベルでも、おかまいなしになりました。
“Hi! Eisuke,”なんて書き出しは、ファックスでは考えられないことです。

吟味した書き言葉による、頻度の少ない、コミュニケーションの作法が、Eメールという「キーボードを使って喋る話し言葉」による、頻度に制限のないコミュニケーションの作法に変わってしまいました。

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英語をナメては、いけません
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つたない英語で間違ってしまったら、訂正すればいい。
言いたいことが伝わらなければ、伝わるまで書き直せばいい。
キーボードと文字を介してはいるが、会話をしているのと変わらないわけです。

それを目の当たりにした経営者がこう考えるのも自然なことでしょう。
こんなに海外と気軽にやり取りができるんだったら、「英語屋さん」を介しないで、社員が直接やりとりすればいいじゃないか。
俺の英語だって通じるんだから・・・。

コミュニケーションに少しでもコストが掛かるのが、無性に無駄に思えてくる。
気持ちは分かりますが、これは短絡です。

Toeic 700点程度では、メールの文章としても、まだまだのレベルです。
それが誰のチェックも受けずに海外に送信されていく。
これが企業の国際化なのかと疑問を持ちます。

英語は簡略化された言語ですが、バカにしてはいけません。
英語のプロを大事にして、上手に使うべきです。

日本企業にお勤めの方に提言します。
英語が公用語化されたら、会社が用意するプログラムを使って、必死になって英語を勉強してください。
仕事もできるし、日本企業で気配り術を身に付けたあなたですから、英語ができれば、もう無敵です。
そしてToeic 900点を取ったら、さっさと外資に転職されることをお勧めします。
年収は必ず倍になります。

今回もお読みいただきありがとうございます。

注1:冷静に考えれば、「仕事ができる」という定義(コンピテンシー)に英語力を入れるかどうかの問題なので、「そりゃ、その人の仕事によるでしょ」ってこと。
注2:テレックスも職場にはありましたけれど、これは一文字幾らと課金されますから、余程のことがないと使いませんでした。
注3:本当のところ、LANやサーバーのメンテナンスなど、コストは増えているはずです。家庭でも、家計簿を見て驚くのは携帯電話やブロードバンド回線など、通信費の出費がとても大きくなったことです。


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