週刊外資系新聞

営業マネージャーのための予算必達術

メルマガ 2010年7月18日号

第2章 欧米型のマネジメント・スタイルに学ぶ

第7節 上司は何のために居るのか

外資系企業の管理職を採用する面接で、必ず聞かれるという想定質問の中に、こんなのがあります。
「マネジャーとして判断をするときに、最重視するのは株主ですか? 顧客のことですか? 従業員のことですか?」というものです。
「うーん…。」私は考え込んでしまいました。

ヘッドハンターから聞かされた正答は「3つとも重視する」でした。
私は心中「それ、答えになってねぇだろぅ」と、思わずべらんめい口調で反問しました。

今なら、迷わずこう答えます。
「笑止千万。従業員に決まっている。」

今回は、この章を締めくくるのに、私なりの上司論を書きます。

上司は何のために存在するのか?
上司のミッションとは何なのだろう?

突き詰めれば、自分の部署の業績をアップさせて、ひいては会社に成長と利益をもたらすことです。
しかし、自分一人で考え、行動しても、出せる結果など多寡が知れています。
部下が働いてくれなければ、業績は決してアップしませんし、長続きしません。

上司として果たさなければいけない仕事は具体的に次の3つだと、私は考えています。

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1. 部下のしくじりをカバーする
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技量があって、経験を積んだ部下でも、しくじることはあります。
顧客の思惑を勘違いして解釈していたり、これまでの経験則を無意識に当て嵌めてしまって、上手の手からでも水がこぼれることがあります。

挽回策を講じるのは、部下の仕事ですが、機嫌を損ねている顧客に電話を入れるなど、感情面の修復工事は上長の仕事です。

部下が電話口で話している様子や、オフィスに戻ってきた時の表情で「何かヘマをしたな」というのは感じられます。
後は「何かあったの?」と、聞くだけなのですから、部下からの報告がなくて知らなかったというのは上司の怠慢です。

クレームを抱え込む性格で、何があったのかを話したがらない部下もいます。
そんな場合は、顧客の所にふらっと立ち寄るのも手です。
近くに来たもので、とかなんとか言って世間話をすれば、事のいきさつは顧客が教えてくれます。

感情的にこじれた顧客のところには、部下の足が遠のきますから、部下個人の成績にも悪影響が出て、いいことはひとつもありません。

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2. 最後の一押しで結果を出す
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担当者同士の話し合いが何度も行われているのに、商談がまとまらない。
訪問するたびに、新しい課題を出されて、堂々巡りになってしまっている。
こんなことがよくあります。

当事者は立派に仕事をしている気になっていますから、気が付かないのですが、このままでは商売になりません。

ここは、上長が同行し、「最後の商談」をするタイミングです。
とはいえ、上長が部下と同じ主張を繰り返してはダメです。
論点を一段高いところに持って行ってもいいのが、上長という立場に許された特権ですから、これを使いましょう。
「商談の進展がないのを心配してやって来た。気付かぬ内に非礼や落ち度があったのではと危惧している。腹蔵のないところを聞かせて欲しい。」

ここまで言っても、まだ無茶な条件を出してくるとか、はっきりした答えが無いときは、上司として作戦変更を命じなくてはいけません。
すでにかなりの時間と労力をその顧客に注ぎ込んでいるので、部下は自分から方向転換を言い出せませんから。

潔くギブアップして、次の顧客に照準を合わせるか、縁が切れない程度の浅い関係をキープさせるか。
上司が決めることです。

とはいえ、たいていの場合は、先方が決断をするための「最後の背中の一押し」を待っているだけのことが多いので、膠着した商談には上長の臨席が効果的です。

ただし、「オレが顔を出したから話が進んだ」なんて、絶対に言わない。顔にも出さないことです。
「お前も上司の使い方が上手いね。参ったよ」くらいにおだてておきましょう。

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3. 見切ってOKを出す
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営業の仕事には案外書類仕事が多いです。
商品説明書、催事の企画書、売り出しプラン、エトセトラ。
前回提出したものを引き写して、さっさと終わらせる要領のイイ輩もいますが、ここ一番の仕事では、書類の作成にも気合が入ろうというもの。

また、なまじ締め切りまでに時間があると、あれもこれもと、構想が膨らみ過ぎてしまい、収拾がつかなくなってしまいます。

完成度90%でOKを出して、早く提出するよう指導するのを、私は心がけていました。

なぜなら、完成度90%を100%に持っていくのには、0%から90%に達するのに使ったのと同じくらいの、時間と手間がかかるからです。
ここから先は、手元にない資料を探し出さなければ完成しないとか、今まで使っていなかったカテゴリーでデータをまとめ直さなければならないとか。
あと一歩の距離は存外長いものです。

「このレベルで充分だから、もうまとめるように」と指示しても、完璧性の人は、家に持ち帰って徹夜しても続けます。

こちらも、言い続けるしかありません。
毎日同じことを言うのも上司の仕事だと思って、私は言い続けました。
必ず効果はありました。

部下は上司を見ています。
「育てよう」なんて、オコがましいことを思わないで、「今どうしたら、上司として役に立てるか?」ということだけを考えて、行動していると、部下も大人ですから、その上長の姿を見て、勝手に育っていくものだと私は思っています。

今回もお読みいただきありがとうございます。

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