週刊外資系新聞

営業マネージャーのための予算必達術

メルマガ Vol. 3 2010年1月9日号

第1章 上司が欧米人

セールス・スタイルが違う の巻き(3)

なぜ欧米人上司は短期決戦型になるのか?
理由の一つとして、社会的に刷り込まれた行動パターンがあるだろう、
というのが前回の内容でした。

キャリア・パス(立身出世コース)の違い、という問題もありますね。
ナントカ・ジャパン社の経営を任されている欧米人の彼・彼女ですが、
彼ら・彼女らにとって、このポジションが最終ゴールではありません。
たいていは、次のステップへの足がかりです。

ゆくゆくは本国の本社に帰って、上のポジションに就きたい。
もしくは、もっと条件のいい他社に移りたい。
そのためには、何が何でも結果を出さなくてはならない。
それも、なるべく短期間で。

控えめな日本人と違い、欧米人は
職務経歴書に華々しい経歴を書き連ねますが、
なかでも、「就任後数ヶ月で不振のXX部門を再生」
なんてのは一番魅力的なフレーズです。
その後でどんなに後処理が大変だったなんてことは、書かないし、
面接で聞かれないし。

ヘッドハンターから渡される「こんな人を探してます」という書類でも
「困難な課題を解決する実行力」とか、
「細部に目が行き届き(Precise)、人任せにしない(Hands-on)リーダーシップ」
などが必ず求められています。

そのうえ「社長求む」とか「部長募集中」みたいな
マネジメント・クラスの求人は、業績低迷中の会社からしか来ませんから、
「私がやれば一年で再生させます」と大見得が切れる履歴書を
書けるようにしておく必要があるわけです。

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6時に消える社長は何をしているのか
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じゃあ、ナントカ・ジャパンの社長はさぞハードワーキングなのだろう。

イエスの人もいれば、ノーの人もいます。

私が仕えた社長にも、ノーの人はいました。
定時出社、定時退社。
夕方6時になると、すぐにいなくなっちゃう。
日本人の社員と昼食に行くなんてことは滅多にないので、
昼も社長室で小さなサンドイッチをかじりながら、
(もしくは昼抜きで=これフランス人でも結構多いので驚きました)仕事をしてますから、
サボってるというわけではないのです。

その彼が毎日欠かさずしている、最大の仕事。
それは本社の社長へ電話を掛けることでした。
本社がヨーロッパにあると、日本の夕方が向こうの朝。
4時30分か、5時くらいから毎日1時間、電話でしゃべっている。
それが終わると「今日の仕事は終わったぜ」という顔で、すっといなくなっちゃう。

毎日そんなに何をしゃべっているのだろう?
と、思ってましたが、私自身にも分かる日がやって来ました。

そのころ私の勤めていた会社は、大ヒット商品をかっ飛ばした後で、大スランプに陥っていました。
本社の社長がやってきて、
「金がかかるので、もうジャパン社にはフランス人の社長は置かない。
あとはお前がやれ。」ということになりました。
(数ヵ月後、その本社の社長もいなくなり、
私の後任に別のフランス人がやってきたのですが、ま、それは稿を改めて。)

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連鎖するマイクロ・マネジメント
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本社の社長が帰った後、「こんなことをやるんだろうなぁ」などと、
一人で社長見習いをしてました。

ある日、彼から電話が掛かってきて、なんだか怒っています。
「何で電話をよこさないんだ?」
「へ、何かあったんですか?」
「何かあったか知りたいのはこっちだ!」
「えー、だって週のレポートも、月次のレポートも出してるし。今は販売テコ入れの対策を練っていて・・・」
と、子どもみたいな会話の途中で、気が付きました。
「ああ、これだったのね。そうか、何でも知りたいんだ」

その日にあったこと、細大漏らさず何カレとなく。
どこの取引先に行って、こんな話をしたとか、
業界のこんなウワサを聞いたとか、
新聞にこんなことが書いてあったとか。
何でも知りたがる。
(商品開発などこちらからの肝心なリクエストは聞こえてないフリをしますが)。

先に書いた「PreciseでHands-on」なマネジメントとは、これだったのです。
上司は何でも知っていなくてはならない。

なぜなら、彼も質問されるから。

マイクロ・マネジメントは連鎖していくのです。
「あれはどうなった?」って、毎日やられたら・・・。
部下に同じ質問を毎日するしかない。
毎日電話でしゃべらなければならないとしたら・・・。
しゃべる内容を作らなければならない。
かくして「ミスター・スピード」が誕生します。

三回にわたり、外資のトホホな側面を書きました。
次回からは、この「トホホ」が笑い話で済まなくなります。

お読みいただいてありがとうございます。

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週刊 外資系新聞
関栄介
http://www.nikkan-gaishi.com
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