週刊外資系新聞

営業マネージャーのための予算必達術

メルマガ 2010年1月1日号

第1章 上司が欧米人

セールス・スタイルが違う の巻き(1)

外資って、日本の会社とどこが違うの? 
私企業なんだから、本質的に同じでしょ?

そうです、その通り。
しかし、違いが3つあります。

1. 上司が欧米人・欧米型
(上司が日本人であっても、最終決定権は欧米の本社にいる欧米人が持っている。
また、欧米型のマネジメント・スタイルが身に付いた、もしくはそれしか知らない、日本人上司が多い)

2.英語が必須の能力
(フランス系、ドイツ系・・・。ビジネスの共通言語は英語です。
それがイイか悪いかはこの際論じません)

3.本社が外国にある
(そりゃそうだ。だから外資系だもん)

当たり前のことを列挙しましたが、この違いが色んな場面で問題になってくるのです。
営業のフィールドでいえば、顧客への売り込みの仕方や、関係の築き方、
維持の仕方といった、セールス・スタイルが全然違うのです。

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欧米人上司は短期決戦型
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「そりゃ、ないんじゃないの」
「いくらなんでも、それは非礼でしょ」

欧米人の上司からの指示に、そう感じたことのある人は手を上げてみて・・・。
あらら。
ほとんどの方が手をお上げになりましたね。

私の経験です。
製品の値上げが急きょ決まりました。
ジャパン社のフランス人の社長から命じられたのは、
値上げの案内を電話で伝えろと。それも最大取引先の問屋に。

「そりゃ、ないでしょ。正式な文書は後回しでも、せめて訪問して伝えないと・・・」
「いいんだ。スピードが大事なんだ。」
フランス人社長はそう言うが、電話で「来月から値上げします。宜しくね」などと言える訳がない。

言ってもいいけど、その後が「取引先をコケにした」ということになり、かえって物事がヤヤこしくなる。
えーい、その問屋は都内にあるから、今からタクシーで行っちゃえ。
と訪問して、仕入れ部長に話をして、ギャーギャー言われて、何とか決着させて、
フーフー、オフィスに戻ったら、社長室に呼ばれました。

「何で行ったの? 電話で済ませろと言ったでしょ。」
「訪問して説明しとけば、後々のことが早く行きますから、はい。」
「そうは思わないなあ。これからは電話で済ましてもらいたい。関さんはミスター・スピードにならなくちゃ。」

この社長を私は常日頃から尊敬していたんですよ。
それまでに6人も社長が代わった会社だったのですが、
いちばん現実的で、実のある作戦を立てられる人だったのです。その人から「ミスター・スピードになれ」と。

人間関係を重視して、少々遠回りでも時間をかけたアプローチをする。
こうした発想をする人は、欧米人には本当に少ない。
プライベートでは、人間関係にデリケートに気遣いをするのに、
(この人には「お前の社内メールはストレート過ぎる」と叱責されたくらい)、
ことビジネスになると、やたら短兵急になる。

結果が全て。これがビジネスの基本です。
財務諸表の数字で表せないものには意味がない。
取引先との人間関係は計数化しようがないから、軽視してもいい・・・。
・・・って、ホントにそうなの?

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ちょっとした違いが日本ではモノをいう
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外国産のものやサービスを日本に輸入して販売する。
ナントカ・ジャパンのビジネスは煎じ詰めるとこれであります。
輸入するものに、日本製のものにはないメリットがあるから、
売れるだろうという前提で、商売をしている。
売り物は、新しい技術だったり、マネできない職人技だったり、
デザインだったり、ブランド名といったイメージだったりするのです。

つまり、独自性があるから売れる。売れて当たり前。
取引先との人間関係なんて、売上には関係ないだろ。
業界で好かれようが、嫌われようが、売れるモンは売れる。

正論です。ただし、一面的。

欧米の百貨店と日本の百貨店とで扱っている商品の種類を比較してみましょう。
日本ほど世界中のものが揃っているところはない。
例えばハンドバッグ。
日本製、フランス製、イタリア製、アメリカ製、ドイツ製、スイス製、・・・
ありとあらゆるブランドが揃っているのが日本の百貨店。
それも、パリに住んでいるフランス人も知らないような、新しいパリの小店の商品まで並んでいる。
日本にはホント、何でもある。

そう、競争条件が他国とは全然違う。
商品力の差が殆どない均質な条件で、狭い場所をめぐって熾烈な競争をする。
これが日本市場の特質なのです。
ここでは、僅差の違いがモノをいう。
そして、最後で最大の僅差は人間関係なのであります。

例えば、百貨店のバイヤーへの売り込みです。
「この商品は、お宅の店ならひと月にウン百万円は売れますよ。だから、この目立つ場所に置いてください」。
これが不変の商談テーマです。
品質も、値段も、イメージも大差ないブランドがわんさと同じ話を一人のバイヤーにもちかける。みんないい場所、目立つ場所を狙って押しかけてくる。
どこも同じようなパワポの資料を持ってくるし、マコトしやかな数字の裏づけも用意してくる。
でも美味しい場所は一箇所だけ。

どうします?
礼儀正しいヤツ、
信用できるヤツ、
普段から親しくしてるヤツ、
ビジネス上で借りがあるヤツ、
生意気だけど、一生懸命で、どっか可愛げのあるヤツ。
こうした取引先に優先権を与えてやろうと思うでしょ。

なんで分からないの?
結果を出すために、遠回りだけと汗かいているのに。
欧米人上司よ、欧米型上司よ、なんでそう急ぐ?

次回は「欧米人上司のセールス・スタイルがなぜスピード至上主義に陥るのか」について考えます。

本稿をお読みいただき、ありがとうございました。
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